「政官接待」の証言も 老施協、会議費で飲食
http://www.asahi.com/articles/DA3S12902128.html

 公益社団法人「全国老人福祉施設協議会」(老施協)で、理事らが使った飲食費を「会議費」として運営費から支出していたことが分かった。計約3300万円に上るとみられ、内閣府の公益認定等委員会は不適切とみて報告を要求。一部は政治家や官僚への接待に使ったとの証言もある。

 老施協には特別養護老人ホームやデイサービスなど約1万1500の施設・事業者が加盟。運営費の8割以上を会費で賄い、厚生労働省から補助金も受ける。

 複数の理事らによると、2013~16年度に理事らが高級料亭や高級クラブなどで飲食した際に運営費から会議費名目で支出。1人10万円のケースもあったという。きっかけは13年7月に老施協の組織内候補だった自民党の中村博彦参院議員が死去したことだった。

 政官との関係維持が課題となり、関係者の一人は「(介護サービスの公定価格の)報酬改定や課税問題の根回しのため使った」と、一部を政治家や官僚の接待に使ったと証言した。

 官僚が接待されていた場合は「簡素な飲食物の提供」などを除き「利害関係者から供応接待を受けること」を禁ずる国家公務員の倫理規定に反する可能性もある。公益認定等委員会は老施協に経緯の報告を求めており、厚労省担当者は「その結果を待ちたい」としている。

 老施協出身で16年に参院議員となった園田修光氏(自民)は取材に、接待には参加していないとした上で「政治にパイプを持とうと無理をしていた部分があったのだと思う」と話した。

 介護現場では怒りの声が出ている。神戸市内のデイサービスで働く介護福祉士の40代男性は「人手不足で給料は安い。それでもやりがいがあるから歯を食いしばっている。怒りを通り越してやるせない」と語る。

(朝日新聞朝刊2017年4月21日)